i -アイ-
自分たちの怪我の手当をしてから、病院まで亮さんに送って貰う。
藍は、この前と同じ病室にいるらしくその病室まで急ぎ足で行けば、病室の前に暁さんが居た。
「暁、藍は」
「……怪我の手当は無事終わった」
妙に、暗い。
藍が運ばれて4時間ほどしか経っていないはず。
「何だよ」
「麻酔の量はそんな対したもんじゃねえらしいんだが、なかなか起きねえ」
「は?どういうことだよ」
三國さんが中に入る。
それに着いて中に入れば、藍は目を瞑り眠っている。
「疲れてんだろ……もうちょい寝れば起きんだろ」
三國さんが藍に近寄り、壊れ物に触るように頬を撫でる。
「藍、お疲れ様」
藍が名雲碧に話しながら泣いている時、やっと、藍がどれだけの物を背負って耐えていたかが分かった気がした。
平然と耐えていたわけじゃなく、必死だったことが。
数分して、病室の扉が開く。
入ってきたのは、
「三國、退けろ」
三國さんの座るパイプ椅子を躊躇なく蹴飛ばすのは、御庄利人。
「利人さん」
三國さんが立ち上がり、御庄利人が座り、触ることも無くただ御庄藍を見ていた。
「お前ら、1回出てってくれるか」
三國さんが、俺らの背中を押す。
扉が閉まりきらないうち、御庄利人のものだと思われる泣き声が聞こえてきた。