i -アイ-
利人さんが戻ってきて、藍の手を握る。
「藍、親父も心配してる。そろそろ起きろ」
そう一言言えば、微かに指が動いた気がした。
「藍、帰ろう。」
利人さんが藍の頬に手の甲をあてる。
それは、とても、とても不思議だった。
返事をするように、藍が目を覚ます。
「……り、ひとさん」
目を覚まして利人さんを見て、すぐに目をうるませる藍。
「おかえり、藍」
えへへ、と可愛らしく笑った藍は、ポロポロと涙を流す。
「ただいま、利人さん」
利人さんが藍の肩を支えて、そして抱きしめ合う。
「体、何ともねえか」
「うん、ちょっとだるいけど」
その声は、甘く、俺たちが、いや、少なくとも俺は知らない藍。
見てはいけないものを見ている気分になり、目を逸らす。
「三日間も眠ってたんだぞ」
「そうなの?もしかして、利人さんずっと居てくれた?」
「ほぼな。」
「ふふ、ありがとう。心配かけてごめんね」
「反省しろ」
えへへ、と笑う藍。
完全に甘えきっている感じだ。
利人さんが藍から少し体を離し、
「別に俺はいいけど、REIGNの奴らもそこにいるぞ」