i -アイ-
そう利人さんが言うと、返答が聞こえなくなる。
利人さんが鼻で笑ったのが聞こえ、藍から離れるとガバッと藍が布団に潜り込んだ。
「言ってよ」
低く唸る藍。
「こいつらも毎日学校帰りに来てたんだぞ」
藍はそれを聞いて、おずおずと目元まで布団を下ろし、
「ありがと」
眉間に皺を寄せて、そう言う藍は、凄く、なんていうか、もの凄く、
「お前ら可愛いとか思ったろ。見るな帰れ」
三國さんが俺らの前に立つ。
「ふっ、凄い独占欲だね?三國。でも残念ながら今の可愛い藍は、目に焼き付いちゃったな」
面白そうに優介さんが笑う。
「藍〜、元気になったらクレープ食べ行こう?美味しいお店見つけたから」
「おい、誘うな。藍を誘うとなるとそれはデートだ。許さん」
「藍って、ちゃんと女子なんだな」
俺が素直に言えば、それが一番逆鱗に触れたらしい。
三國さんと、暁さんのオーラが凄い。
「鍵田先生呼んできます」
逃げるが勝ちだ。
病室を出て、近くに居た看護師に声をかける。
改めて、藍は普通の女の子として出来るはずのことを犠牲にして今まで1人でここまでのことを成し遂げた。
それは男女関係なく、尊敬すべきこと。
これから、俺があいつにできることって、何なんだろう。