i -アイ-
「ありがとう、藍」
「ちゃんと、眠れてる?」
それが一番気掛かりだった。
「ああ、眠れてる。でも、藍の料理がまた食べたいなぁ」
「任せて。碧さんもちゃんと予定空けておいてね」
忙しいのは重々承知だ。
今回の一件で、鬼龍組はなくなり、新しく碧さんが組織を作っている最中らしい。
近々に新しい組が出来るんだろうが、八澄会の中で抗争は勃発しないと考えられる。
理由は1つ。
碧さんとあの幹部に盾つこうと思う組は他にないだろう。
玄関に出て、パーカーのフードを被る。
「じゃあ、また」
「気をつけて」
あたし、御庄藍。
両親は早くに亡くした。
両親の人生はかなり壮絶で、その2人に育てられたあたしは異常なまでに力を得た。
良かったのか、悪かったのかは分からない。
普通の女の子とはかけ離れた時間を過ごしてきた。
けど、後悔はないし、この先嘆くつもりもない。
大事なものを守るために戦った両親のように、あたしも大事なものを守るために戦っていきたい。
あたしにとって大事なもの。
沢山ありすぎるけど、必ず守ってみせる。
だってあたし、榛人とまりあちゃんの娘だからね。