i -アイ-
「あたしはね?これまで利人さんや漸さんに沢山守ってもらったの。だから、2人を説得するために色んなことをした。ある人に、認めてもらうためでもある。」
榊亮。
あの人が本当のことをあたしに言ってもいいと思うくらいに。
強くなりたかった。
「三國、あたしは、もう弱くないよ。だから、見守ってくれるだけで十分。」
あたしが笑うと、眉間に皺を寄せて俯く三國。
まだ、心配か。
「心配しないでっていうのも、難しいと思うから、一つだけ教えてあげる。……内緒だよ?」
耳貸して、と三國に言い、顔を近付ける三國。
そして、耳元で
「あいはあいでも、佐伯蓮を助けてあげたのだーれだ」
三國から離れると、三國は固まっている。
さすが、頭の回転早いな。
普通頭が固くて、答えに辿り着ける人はそうそういないだろうし、信じる人もいないと思う。
「三國、次どこ行くー?」
その様子をくすくす笑いながらも、ブレンドコーヒーを飲む。
三國、ありがとう。
あたしは、やらなきゃいけないことがあるんだ。
それだけは譲れないし、譲らない。