i -アイ-
滝谷岳side
俺の隣の席、久遠藍人。
明るい髪色に、裸眼なのかコンタクトなのか、色素の薄い茶色の瞳。
綺麗な鼻筋に、色のいい唇。
シャープな輪郭に白い肌。
身長は176cm。男にしては華奢な方。
それなのに、三國先輩と幼馴染みで佐伯蓮とも対等に話す。
さっきまで笑っていたのに、急に雰囲気が変わった。
授業に集中してるというより、何か考え事をしている。
すげえ、不思議なやつ。
「っ」
俺が見ていることに気がついたのか、こちらを向いてふっと笑った。
……綺麗なんだよな。
いや、男なんだけど、男からしても綺麗な男っつーか。
あんだけ女にキャーキャー言われんのも仕方ないっつーか。
……はぁ、授業集中しよ。
藍人と違って俺はそんなに頭いい方じゃねえし。
「俺図書館で勉強するけど、滝谷は?」
放課後に俺に声をかける藍人。
あ、教えてもらおうかな。
「あー、古典教えてもらってもいいか。」
「ん、了解」
そんな俺に羨望の眼差しが大量に。
そうだよな、藍人に教えてもらいたい女子いっぱい居るよな。
「なあ」
……男も、いた。
「ん?どーした、蓮」
「俺も、いいか」