i -アイ-
佐伯蓮side
「あぁ?お前REIGNのやつだな?」
溜まり場であるマンションまでの間、絡まれることはしょっちゅう。
入ったばかりの俺は、標的になりやすい。
出来るだけ、血で制服が汚れないように喧嘩して、早めにマンションへ向かう。
「邪魔なんだよ」
喧嘩を売ってきた奴の体を踏みつけてその場を去る。
『蓮はどうしたい?』
俺の考えを促すような言葉。
あいつは、何を考えているかよく分からない。
けど、佐伯から蓮に呼び方を変えたのは理由がある気がする。
あん時、あいつが言いたかったのは、きっと、REIGNであるお前が藍人個人と親交を深めていいのかどうかってこと。
バスケは理由をつけられる。
スポーツフェスタの練習なだけだと。
でも、勉強は、藍人と俺が友好関係にあることを表すことになる。
……お前、俺と関わること、OKされてるの?
藍人が言いたいのはそういうこと。
藍人は何かを知ってる。
それを明かすことは出来ないんだろう。それでも俺が察すことができるような言い回しをしたのは、俺を信頼しているというメッセージにも取れる。
「暁さん、話があります」
ソファで雑誌を読んでいる暁さんに声をかけた。