i -アイ-
「いいぞ、藍人と関わっても。」
「……三國」
暁さんが眉間に皺を寄せる。
「その代わり、危ねえって思ったら離れろ。あいつは、俺より頭がキレる。分かったな」
三國さんより、頭がキレる……?
「あいつは、一体……」
「あと、俺より仲良くすんな」
「……はい?」
「よし、分かったら今日は帰ってくれるかー?暁と話すことがある。悪いな」
パンッと手を叩いた三國さんは、俺の体の向きをクルッと変え、玄関まで押した。
「あいつと関わるのはそれなりに覚悟がいる。……特に暁がな。複雑でよぉ。」
そう優しく、儚く笑う三國さん。
「でも、お前の見る目は間違ってねえよ。藍は、すげえ良い奴だから。仲良くしてやってくれ」
じゃあな、と部屋の扉を閉じた三國さん。
何も分からない。
藍人と暁さんと三國さんにはなんらかの関わりがあって、藍人と暁さんの間には覚悟を持たないといけないほどの何かがある。
でも、藍人は悪いやつじゃない。
どういう関係なんだよ。
今度、藍人に聞いてみるか。
三國さんより頭がキレるって何もんだよ。