i -アイ-




そのやりたいことというのは、



榛人の死について調べること。




_____




「よーし、仕事行ってくるぞー」


準備を終えた榛人が、あたしを抱き締める。


利人さんとは真逆の性格。


「俺のお姫様〜」


娘には甘々。


「ちょっと!榛人くん?」


娘にさえ嫉妬するまりあちゃん。


「はいはい、喧嘩しないの。」


そう言ってあたしが2人を抱き締めると、2人ともふにゃふにゃの笑顔であたしを抱き締める。



「榛人、頑張ってきてね。お家で待ってるからね」



「うわぁ、行きたくないけど、頑張ってくるー」



あたしの頬をむにむにと触って、



「じゃ、行ってくる。まりあ」



そう言ってまりあちゃんにキスをして、笑っていつも通り家を出ていった榛人。




その日から榛人は居なくなった。




まりあちゃんは泣かなかった。


ずっとあたしのそばに居た。


まりあちゃんが泣かないから、あたしも泣いちゃいけないと思った。


榛人のお葬式の日も、まりあちゃんは泣かずに凛とした姿勢で喪主である漸さんのサポートを務めきった。


知らない人達が沢山集まっていて、それぞれが小さな声で噂をしていた。





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