i -アイ-
「お、おい、藍人、お前何言ってんだよ」
「ごめん、黙っててくれる?滝谷」
滝谷の方を見ずに、蓮だけを見つめる。
「殴る?蓮」
拳を握りしめて、その力で震える蓮。
「優しいなぁ、蓮は。」
「……てめえ」
「その優しさを否定するつもりはないよ。けど、REIGNが置かれてる世界で、それは通用するかな?」
その言葉に、投げ出される拳。
あたしの目の前で止まる。
「通用しないんだよ、蓮」
その腕を掴んで引き寄せ、蓮の体に力が入ったところで蓮を軸に背後に周り、自分のペンケースからシャーペンを取って蓮の頸動脈に当てる。
悲鳴が上がる。
「ねえ、蓮。これがナイフだったら、お前、死んでるよ。」
耳元でそう囁くと、勢いよくあたしから離れる蓮。
「……俺を信頼してくれてるのは嬉しいよ。ありがとう。でも、今の時点でそこまで信頼するに値する人間ではないんじゃない?俺」
青い顔をしてあたしを見つめる蓮。
「俺は佐伯蓮を気に入ってるよ。でも、REIGNとしての佐伯蓮はまだ認めてないんだ。」
あいつ、何もんだよ
そんな声が聞こえる。