i -アイ-




「はいはい、そこまでにしてやれ。藍、いじめすぎだ」




そんな落ち着いた声が聞こえる。



「三國、さん」



蓮がそいつの名前を呼ぶ。



「お前に止める権利があるの?三國」



あたしは三國を見ずに話す。



「……いいや?そんな権利はあると思ってねえが、危ないだろ?」




「はは、危ないと思うなら何故俺を呼ぶの?」



「REIGNの力を増幅させるためには、安い代償だろ?」



そんなこと、1ミリも思ってないくせに。



「三國も、蓮ぐらい簡単ならいいのにね」



「残念。俺一応REIGNの頭脳〈ブレーン〉だからさ」



「にしては、博打しすぎでしょ」



「だって、お前欲しいんだもん」



ああ、その楽しそうな声。



「ねえ、三國。俺、怒ってるんだけど」



ニコッと笑って三國を見る。



「……はっ、こえーな?それは」



目の笑っていない笑顔を見せる三國。

だから、あたしも笑わない。


笑ってらんない、こんな博打。



「ごめんね、皆。騒いじゃって。うるさかったよね。」



だけど、周りの子達には謝らないとね。

いつも通りの笑顔で。



「滝谷もごめん。心配してくれたのに。」







< 88 / 457 >

この作品をシェア

pagetop