i -アイ-
「はいはい、そこまでにしてやれ。藍、いじめすぎだ」
そんな落ち着いた声が聞こえる。
「三國、さん」
蓮がそいつの名前を呼ぶ。
「お前に止める権利があるの?三國」
あたしは三國を見ずに話す。
「……いいや?そんな権利はあると思ってねえが、危ないだろ?」
「はは、危ないと思うなら何故俺を呼ぶの?」
「REIGNの力を増幅させるためには、安い代償だろ?」
そんなこと、1ミリも思ってないくせに。
「三國も、蓮ぐらい簡単ならいいのにね」
「残念。俺一応REIGNの頭脳〈ブレーン〉だからさ」
「にしては、博打しすぎでしょ」
「だって、お前欲しいんだもん」
ああ、その楽しそうな声。
「ねえ、三國。俺、怒ってるんだけど」
ニコッと笑って三國を見る。
「……はっ、こえーな?それは」
目の笑っていない笑顔を見せる三國。
だから、あたしも笑わない。
笑ってらんない、こんな博打。
「ごめんね、皆。騒いじゃって。うるさかったよね。」
だけど、周りの子達には謝らないとね。
いつも通りの笑顔で。
「滝谷もごめん。心配してくれたのに。」