i -アイ-
Lv3
桜庭優介side
『優介、確実な利益だけを考えなさい』
俺の父親の口癖。
俺はその通りに生きてきた。
目先の欲望には囚われず、自分に確実な利益だけを考えた。
喧嘩をする。
そんなもの、限りなく不必要なものだった。
けれどREIGNにいる限り、必要とされるもの。必要最低限の回数で、動きで終わらせる。
つまらない人間に見えてもいい。
けれど、正攻法であれば、成功した者が1番でしょう?
自分に不必要であれば切る。
自分に不利益を被るものなど話にならない。
「ねえ、三國。彼は本当に必要な存在なの?」
どうせはぐらかされる。そんなの分かっている。
こんなことを聞くのが無駄だということも。
けれど聞きたくなるのは、まだ未熟な証拠だ。
「優介。より大きな利益を手に入れるためには、より大きなリスクを伴う。そうだろう?あいつはそういう存在なんだよ」
久遠藍人が帰ったあと、静まる部屋の中でそうゆったりと話した三國。
「まだ、時期じゃねえ、か。本当にあいつの考えてる事は分からねえな」
三國が分からないのなら、俺らに分かるはずがない。
三國と同い年の俺。
認めたくはないが、三國が俺より上であることは確実だった。