愛の深さに溺れる
そう言って私の手を取った須崎さんはエスコートしてくれた。
ドキドキが止まらない。
この年になってこんなに趣味が合う人に出会って、ときめきを抱いて…
「ん?何、海老塚さん」
「…ぁ、」
___スコーンと恋に落ちるなんて想定していなかった。
ダメだ、どうしよう、動悸が止まらない。
「俺の顔に何かついてますか?」
「い、いえっ」
「そう、なら早く。もう始まっちゃいます」
そのまま彼に手を引かれ、映画が始まっても何故か彼の手は私の手を握ったまま。
そのせいで私は映画にいつものように集中することが出来なかった。
彼にドキドキしていることがバレないかだとか、手汗大丈夫かなとか考えるのはそんな事ばかり。
映画の後の食事もこれまで通りのはずなのに彼の顔をまともに見れなかった。
きっとそんな私に気づかない彼じゃない。