アンブレラ
日曜日のファミリーレストランは、夕食にはまだ早い時間でも混雑していた。
メニューを広げて、菜穂はどれにするか迷っている。
「やっぱりパフェいきたいよね…チョコと苺、どっちにしよう…」
まるで難解な数式に挑んでいるかのように菜穂は真剣だ。
俺はとっくにドリンクバーから持ってきたアイスコーヒーを飲んでいる。
バイトの後だからか無性に喉が渇いていた。
「そんなに悩むことかねぇ…」
「ん!」
失言だったのか、菜穂は顔を上げた。
俺を睨んだのかもしれないが、その丸い瞳はまったく怖くない。
「迷うのが楽しいんだよ」
「意味がわからない」
「迷って迷って、選んで食べた時の『あ、こっちにして良かった!』って思うのがいいの」
「『あ、失敗だった』って時はどうするの」
「どうもしないよ。失敗だって楽しいから。『次はあっちにしよう』って思うだけ」
「……」
菜穂の言葉は不意に胸に刺さることがある。
強いな。しっかりしてるな。そう思う。
失敗だって楽しい?
俺はそんなこと思ったことがない。
失敗は失敗で、ただ恥ずかしいだけだ。
黙り込んだ俺に、菜穂はすぐに気づいた。
「もしかして疲れてる?バイト、忙しかった?」
「そんなことないよ。早く決めて」
「はーい」
メニューを広げて、菜穂はどれにするか迷っている。
「やっぱりパフェいきたいよね…チョコと苺、どっちにしよう…」
まるで難解な数式に挑んでいるかのように菜穂は真剣だ。
俺はとっくにドリンクバーから持ってきたアイスコーヒーを飲んでいる。
バイトの後だからか無性に喉が渇いていた。
「そんなに悩むことかねぇ…」
「ん!」
失言だったのか、菜穂は顔を上げた。
俺を睨んだのかもしれないが、その丸い瞳はまったく怖くない。
「迷うのが楽しいんだよ」
「意味がわからない」
「迷って迷って、選んで食べた時の『あ、こっちにして良かった!』って思うのがいいの」
「『あ、失敗だった』って時はどうするの」
「どうもしないよ。失敗だって楽しいから。『次はあっちにしよう』って思うだけ」
「……」
菜穂の言葉は不意に胸に刺さることがある。
強いな。しっかりしてるな。そう思う。
失敗だって楽しい?
俺はそんなこと思ったことがない。
失敗は失敗で、ただ恥ずかしいだけだ。
黙り込んだ俺に、菜穂はすぐに気づいた。
「もしかして疲れてる?バイト、忙しかった?」
「そんなことないよ。早く決めて」
「はーい」