アンブレラ
その日は帰宅が19時を過ぎた。

あの後、菜穂の食べっぷりの良さに刺激されて、本当にタンドリーチキンを頼んでしまった。

菜穂とダラダラと話しながら時を過ごした。
くだらない話ばかりなのに、今もその内容を鮮明に思い出せるのが不思議だった。

店を出たら外は思っていた以上に暗くなっていて、2人で驚いた。

家まで送ると俺は言ったけれど、菜穂はそれを断った。

また明日、学校で会おうね。
そう言って、菜穂は夜の闇に消えた。

1番訊きたいことが訊けなかった。
俺と付き合ってから色々と噂されて、傷ついていないのか。大丈夫なのか。
でも、菜穂の気持ちを知ったところで、俺には何もできないこともわかっていた。
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