アンブレラ
俺は菜穂の正面に立った。
卵焼きを口に運ぼうとしていた菜穂は、呆気にとられたように、俺を見上げた。
「瀬戸、どうしたの」
「風邪だって」
「お前、そんな恥ずかしいことするなよ。馬鹿」
「別に寂しくなんか…」
菜穂の弁当箱はそれほど減っていなかった。
俺は菜穂の机に両手をついた。
「瀬戸がいない日は一緒に食べよう」
「え?ここで?」
「今日は晴れてるから屋上」
ぽかんとしている菜穂の顔がおかしくて、俺は苦笑した。
「なに?嫌?」
「…嫌じゃない」
「うん。行こう」
初めて俺のほうから菜穂の手を引くような、そんな気がした。
卵焼きを口に運ぼうとしていた菜穂は、呆気にとられたように、俺を見上げた。
「瀬戸、どうしたの」
「風邪だって」
「お前、そんな恥ずかしいことするなよ。馬鹿」
「別に寂しくなんか…」
菜穂の弁当箱はそれほど減っていなかった。
俺は菜穂の机に両手をついた。
「瀬戸がいない日は一緒に食べよう」
「え?ここで?」
「今日は晴れてるから屋上」
ぽかんとしている菜穂の顔がおかしくて、俺は苦笑した。
「なに?嫌?」
「…嫌じゃない」
「うん。行こう」
初めて俺のほうから菜穂の手を引くような、そんな気がした。