青春の花は素顔に咲く
ドサリ、と音がしてあたしは誰かの上に落ちた。
「大丈夫か? ……ってあっやべっ」
「…………」
あたしは言葉が出なかった。だって。
「王子様……?」
目の前には長い金髪を持つ、青い瞳の王子様がいたから。
まるで絵本に出てきそうなビジュアル。何で学校に王子様が?
「悪い、黒野。説明は後で」
「え? あたしを知ってるの?」
王子様は逃げるようにその場を去っていった。
キラキラとしたその姿をボーゼンと見つめるあたし。
「かぁっこいい……」
ウットリしながらあたしはつぶやく。
そして。木の下に置いていたスマホを見て叫ぶ。
「いけない! 理事長室に行かないとお昼の時間が!」
あたしは慌ててその場から駆け出したのだった。