青春の花は素顔に咲く


「お母さんは今日のいつ帰ってくるの? おばあちゃん」

 あたしはモップを使いながら、おばあちゃんに尋ねた。 

「お昼ごろみたいだねぇ。だから芽以ちゃんは学校に行けばいいよ」
「そうだね。ごめんねおばあちゃん。後はよろしく」
「いいよぉ。久しぶりに会えるの楽しみだねぇ」
「うん」

 あたしは朝から掃除の仕上げをすると、家を出た。
 なんだか雲行きが怪しいけれど……まあ、大丈夫だよね。傘はさすがに要らないよね。

 きっと大丈夫。天気予報は晴れだったし。

「おはよう白銀、美也子」
「はよ」
「芽以、おはよう!」

 いつも通りの二人の笑顔。
 いつも通りのあたし。

 いつも通りの日々が今日も始まるだけ。
 そう。
 だから。 

 きっと何も起こらないはず。
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