青春の花は素顔に咲く
「芽以ちゃん、顔色悪いけど大丈夫かい」
「大丈夫だよお祖母ちゃん。耐えるから」
「……芽以ちゃん、おばあちゃんが説明してもいいんだよ?」
「平気だから、お母さんに余計な迷惑かけちゃいけないもん」
もしかけてしまえば。
嫌われるかもしれないし。
そうなったら、あたしは。
(ただでさえ、ダメな子なのに……)
怖い。考えたくない、だから。あたしは心に戦闘服を着るしかない。仮面をつけて、笑って。やり過ごそう? きっと大丈夫だよ。
「ただいま、芽以―おばあちゃんー」
「おや、帰ってきたようだね」
「お母さん、おかえりなさい。久しぶり」
きれいな黒髪をフワフワにした、背の高い美女。それがあたしのお母さん。
服はそりゃ、安物って感じがするけど、何を着たって華やかに見える。あたしと似てないから。ちなみにあたしはお父さんにも似てない。母方の
おじいちゃん似らしい。まあ、それはおいといて。
あたしは作り物のの笑顔でお母さんに駆け寄る。
「元気だった? 芽以」