青春の花は素顔に咲く
「勉強を教えてあげてるんだって?」
「まあ、それは本当だけど」
「何してるの?」
「え?」
「自分のことを優先しないとダメじゃないの。芽以は」
お母さんは、飽きれたような声で言った。
あたしはポカンとして、しばらくして無言になる。
「ごめんなさい」
力のない声が出た。
「まずは自分のことができないのに、何で人の面倒を見ようと思うの?」
「それは、力になりたくて」
(お金ももらう約束あるけど)
「もうやめなさい。貴女にそんな余裕はないでしょう?」
「え、と」
「いい大学に入る代わりに今の高校に進みたいって言ったんじゃないの? 夢はいい大学に入ることって、芽以は言ったわよね」
「あ、え、うん……言った……」
「なら、その約束は守りなさい。自分で決めたことでしょう?」
(それは正論だけど……)
胸が苦しい。逃げ出したい。でも。
悪いのはあたしだもん……。涙目になりそうになるのをこらえてあたしはうつむく。
足がプルプル震えている。手だって。
「ごめんなさい、お母さん」