青春の花は素顔に咲く

 立派な白い口髭がサンタクロースを思わせる名物理事長はニコニコしていた。

「でも、理事長!」
「まあまあ、黒野君は全国レベルの秀才なんだからいいじゃないか。素行も悪くないし、高校一年生なのにもう大学の勉強がわかるんだろう?」
「ですけど!」

(うるさいなぁ……)

 はあとまたもやため息をつくあたし。学校の廊下で騒ぎすぎだよ、先生たち。
 あたしは黒いドレスの裾を直しながら聞き流す。
 なので。

「あいつはどうなんですか」
「……あいつ?」
「白銀(しろぎん)カケル。今時金髪リーゼントの化石ヤンキー。素行について悪いうわさもめっちゃ聞きますけど? おばあさんをカツアゲしたとか色々」

 目の前を素通りしていく白銀をあたしは指さす。
 長い学ランは特攻服のようだし、いつだって黒いサングラスで顔を隠してる。
 おまけに遅刻早退常習犯。あいつのほうが問題だと思う、どう考えても。
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