青春の花は素顔に咲く
「努力って夢をかなえるためにするもんだろ? なあ? 黒野。じゃあ、オレの夢はどれだけ努力すれば叶うんだ? そんなにもそんなにわがままな夢か? ほかのやつらは何もしないでも手に入れてるのに、何でオレは頑張ってもダメなんだ? なあ! なあ! なあ! オレにだけ、その権利がないのか? どうして、オレは普通になれない……?」
屋上のコンクリートのシミがどんどん増えていく。
あたしと、白銀の涙が混ざり合う。
苦しかった。悲しかった。つらかった。どうして? そんなのあたしが聞きたいよ。
ねぇ神様がいるのなら、何で白銀の夢はかなえられないの?
そんなの、おかしくない?
「黒野……オレさ、もう疲れたんだ」
「……うん」
「もう、アイドル、やめていいか……?」
「…………」
「何のためのアイドルなのか、わかんなくなっちまったよ……オレが芸能界を頑張ってれば、目覚めた二人が喜んでくれると思ってたけど……そんなことはもう二度とあり得ない……むしろ芸能人をやればやるほど、両親の顔がちらつくんだ。オレを応援してくれた元気だったころの二人が、見えてしまうんだ」
「……白銀」
「ごめん、黒野。応援してくれたのに。生徒会長も……そうだな、いろんな人が手伝ってくれたのに……オレはもう、無理だ」
そう言って白銀は笑顔のまましゃがみこんで、泣きつづけた。