青春の花は素顔に咲く
「……っ」
「白銀!?」
顔をぐちゃぐちゃにして泣き始めたのだ。
「く、ろの……」
「え、あ」
「オレ……こんなままで、そばに居ても迷惑じゃないのか? 異物がこの世界に混ざっていて、周りは嫌がらないのか? なあ、黒野……」
「……白銀」
「つらかったんだ。苦しかったんだ。だけど、オレはアイドルだろう? 夢を与えなきゃいけない存在だろう? こんな情けない姿……見せれないだろ」
「そんな事ないよ!」
「黒野」
「誰だって、弱いもん……アイドルだって……一人の人間だよ」
「普通じゃなくても?」
「それが悪いこと? 普通だけが正解なの?」
「……オレにとっては」
「うん。そうだね。白銀にとってはそうかもしれないね。でもね……正解を一つに絞る必要はないんだよ、きっとね。それは白銀といてあたしが感じた答えの一つだよ」
だから、とあたしは続ける。
「生きてるうちに。増える答えもきっとあると思う……んだ。多分」
絶対とは、言い切れないけれど。
きっと……。
今は本当の自分がわからなくても、いつか新しい自分ができてるかもしれないし。
その自分が実は正解じゃなくて、その後や前にあるかもしれないし。
「生きてみないと、わかんないよ、きっと……」
「……黒野」
「だから、生きよう。ダメだったら、またその時考えよ。その時はあたしも一緒に悩むから」
「…………」
「それじゃ、ダメかな……?」
「……ダメ、じゃ……ない……」
震える声で白銀は言った。
「おまえだけは、オレの傍にずっといてくれるか……芽以」
「……うん。そばに居るよ、カケル」
ずっと、いるよ。
それが、あたしの意志だから。
それが、あたしの夢だから。
そして、それがあたしの願いだから。