青春の花は素顔に咲く


 あの後、白銀……カケルは疲れたのかまた眠っていった。
 すやすやと寝る姿は、幸せそうに見えた。

「お疲れ、カケル」

 カケルはすごく頑張ったと思う。尊敬できるぐらいに、頑張ったと思う。
 だから。今度は、あたしの傍で肩の力を抜いて、笑っていてほしい。
 どんなにつらいことがあっても、あたしは逃げない。

 絶対、はありえないかもしれない。

 だけど。

 カケルのそばに居たいんだ。あたしは。
 こんなダサくてみじめなあたしだけど。カケルに必要にされれば、もうそれで何もかもが満たされるぐらいに、幸せになれるから。
 だからさ、カケル。

 今度は、あたしがカケルをそうさせてあげれるようになりたいな。

 なんて。

 ずうずうしいことをあたしは願う。
 心から願う。カケルの笑顔を、願う。それが、あたしの笑顔につながる
のだから。

 ずっとずっと、願い続けるよ。
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