青春の花は素顔に咲く
*
「うまいな、このかゆ……」
「そう? ありあわせだけど、カケルの口に合えば嬉しい」
「芽以って料理美味いよな」
「えへへ。まあね」
「カケルくん、ゆっくりやすんでおいき」
「ありがとうございます、芽以のおばあさん」
「芽以ちゃんがお友達を連れてくるのははじめてだねぇ。嬉しいよ」
「……いつもお世話になってます」
「いいのよぉ。芽以ちゃんが嬉しそうにしてるんだから、お互い様だねぇ」
「おばあちゃん、おばあちゃんのご飯もあるからね」
「本当、ありがとうねえ。芽以ちゃん」
そう言っておばあちゃんは消えていった。
カケルを家に連れてきたと木、おばあちゃんは何も言わずに布団を敷いてくれた。
それがどんなに助かったか。
何も言わないことが、救いになることもある。
だからあたしも、カケルを救えるのかもしれない。