青春の花は素顔に咲く
(お世辞じゃなく心からの言葉で誰かにあなたって素敵だねって、誰かに言ってもらえたら自分を好きになっていけるんだと思う)
どんなに自分だけ自分を好きになろうとしても、それは結構難しくて。
鏡を見ても左右対称のゆがんだ自分しか見えないから。
「うまいな、しょっぱいけど」
「カケルが泣いてるからだよ」
「……なんだか、止まらないんだ。なんでだろうな」
「いっぱい泣いていいんだよ、そのうち止まるから」
「なあ、芽以」
「何? カケル」
「芸能界について、もう少し考えてみる」
「うん」
「芽以の望みでもあるからな」
「え? あたし」
「……両親だけじゃなく、お前も、オレが芸能界にいる理由なんだ」
「ねえ、あたしと昔あったことあるんだよね? それは、いつ?」
なんか、そんな感じだけど、あたしの記憶にはない。
「そうだな。そろそろ語るか」
カケルはなぜか照れ臭そうに笑った。
そして、カケルが語りだした。
瞬間、思い出す。あの頃の思い出を。
「……嘘、あの子がカケル?」
そんな、まさか。だって、あの子は。