青春の花は素顔に咲く
五話 ゴスロリちゃんとヤンキー君よ永遠に
 あたしはあの頃からコンプレックスの塊だった。
 小学校行くか行かないかぐらいの年齢で、すでに自分が不細工な自覚はしていた。
 だって、違うんだもん。男の子からの扱いが、あたしだけ、違う。

(かわいい子とはやっぱ、別の扱いをされてる)

 あたしみたいにばい菌扱いはされない。
 
「黒野がきたぞ」
「やっぱブスだなぁ」
「……はあ」

 こんな風に、直接悪口も言われない。

「二つ結びとかかわいい子しか似合わないって」
「ぶりっ子―」
「…………」

 だけどあたしは反論しないまま、それを無視していた。

 
 子供心にあきらめていたから。
 あたしは普通の顔ですらないんだと。
 だって他の子はいじめられてないし。
 特別あたしが醜いんだ。
 そんなんだから、気づけば悟るよね。そりゃね。

 きっとあたしはブスだから、永遠に愛されないんだろうなって。
 割り切って言い聞かせて。そうやって心を凍らせないと耐えれなかった。

(泣き叫んだら、さらに笑われるだけだし、おばあちゃんも困るし)

 お前のくせにとか。 
 何様のつもりだとか。
 さらに罵倒を喰らうだけだから。 
 しかたないんだよ。
 事実なんだからさ。

 自分のルックスが悪いのは事実だから、受け入れないと。

 今思えば、なんて夢のない子供だって思うけど。
 きっと永遠にそういう扱いが続くのを覚悟していたから。

 あたしは性別は女の子だけど、扱いは『女の子』にはなれないんだろうなって。

 そんな予感がひしひししていた。

















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