青春の花は素顔に咲く

「お姫様?」
「ひっ」

 あたしが声をかけると逃げて隠れてしまうのだ。

「お話ししよう。お友達になろうよ」
「……っ」

 首を横に振るお姫様。

 あたしはどうしてもお姫様と仲良くなりたくて追い掛け回した。お姫様の足も速くて、気づけは追いかけっこになっていて。

「はあっはあ……お姫様、逃げないで」
「……いや」
「じゃあ、まだ追いかけるよ」
「……!」

 何度追いかけっこをしたかは、思い出せないぐらいに沢山で。
 そのうち笑顔で毎回追いかけあっていたのを覚えてる。

 んでもって、お姫様がとある日転んだんだ。
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