青春の花は素顔に咲く

「大丈夫? お姫様」
「ふえっ」
「もう、あきらめてお話ししよう。あたし黒野芽以」
「……名前、言えない」
「いいよ。お姫様はお姫様だから」
「……ひめ、じゃないもん」
「お姫様でいいの。かわいいから」

 あたしはドヤ顔で言った。

「かわいい?」
「うん、すごく。お姫様とか天使みたいでうらやましいよ」
「……羨ましい、の?」
「そうだよ?」
「……ぼく、いやなの。この顔嫌い」
「あたしはうらやましいよ。綺麗だし、声も可愛い」
「……皆が僕の写真を撮るの。歌ってっていうの」
「だってきれいだし、見てるだけで幸せになるもん」
「幸せ?」
「お姫様は魔法使いだから」
「魔法」

 ポカンとした顔でお姫様はあたしを見た。
 あたしはにっこり微笑んで返事をする。
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