青春の花は素顔に咲く


「カケルってお姫様だったの!?」
「その言い方はやめてくれ。誤解を招く」
 
 恥ずかしげに目を泳がせるカケルは耳まで赤い。

「でも……そりゃ、気づかない……女の子だと思ってたし」

 あれで男の子と気付けっていう方が無理ゲーだと思うんですけどね? 

「だとは思ったから言いにくかったんだよ」

 まあ、男の子からしたら性別を間違えられるのはきついよねぇ。いくら子供時代であれどさ。
 でも、あの頃のカケルはマジお姫様で。

 おばあちゃんに頼んで写真を撮ってもらったときは、なんか恥ずかしかったし。

 あたしと違ってお姫様がとびきり可愛いのが、しんどかった。

 並ぶの嫌だなって思いながら、友達だから横に立った。

「お前のほうがかわいいのに」

 サラリとすごいお世辞を言い出すカケル。
 
「いやいやいや」

 無理あるって。
 そう否定するとカケルは何故かふてくされたような顔をした。

「惚れた女がかわいく見えるのは普通だろう……」
「え?」
「何でもない!」

(なんかすごいセリフが聞こえたんだけど)

 気のせいだと思いたくないんだけど!?
 もう一回聞きたいのに……うう。

 あたしがしょぼんとしてると、カケルが真っ赤になりあたしを見た。
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