青春の花は素顔に咲く
「あー彼は……」
「理事長、しっ」

 先生たちが慌てて理事長の口を塞ぐ。
 理事長は何かいいたげに私を見ている。

「?」 

(何か隠してる?)

 しばらくして、先生たちから解放された理事長は語り出す。

「でも、黒野君にはどうせ頼まないといけないでしょう?」
「そうですけど! 人目を気にしてください、理事長。あの子のことはトップシークレットなんです!」

(なんなの?)
 
 あたしに頼みたいこと? なにそれ?

 ぎゃあぎゃあ騒ぐ担任と理事長。おじさん二人で目立ちすぎ。しかも他の先生は空気になって役に立たないし。せめて止める努力はして欲しいんだけど……?

 まったくもう。呆れてしまう。
 ここにいるだけ時間の無駄になる気がしてきたわ。

「予習したいんで、先に行きますよ」

 あたしは赤い唇を動かし言った。
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