青春の花は素顔に咲く

「なんか呼び出しされたー」
「何したの」

 美也子が苦笑いする。
 あたしは慌てて首を横に振った。
 やばい。美也子には誤解されたくないっ!

「してないよ! 何も!」
「なんか入賞でもしたんじゃないの? また」
「ああ……それならありえる」

 なるほど、そっちの解釈ね。
 よかった。

「本当成績いいからねー芽以は」

 美也子は羨ましげに言った。

「まあ、努力してるからね」

 そもそも本来はこの学校に来るはずの学力ではないから。
 この狭い世界では一番じゃないとまずいんだよね。
 じゃないと大学で困る羽目になる。いいとこ行きたいんだよ、大学は。

「とりあえず授業始まるし教室行くよー」

 美也子がボブの黒髪を揺らして言う。友人の美也子は、それこそ見た目もどこにでもいる女の子だ。ただ、ゴスロリをすごくかわいいとあたしに自ら話しかけてきたことはちょっと変わってるかな。皆、あたしを怖がって話しかけてこないのに。

 基本的には美也子って、普通にアイドルとか化粧品が好きなミーハーな子なんだけど。
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