青春の花は素顔に咲く

「そういえばさーテレビでKAKERUがさー」

 突然美也子がキラキラした目で語り出す。


「……誰かわかんないけど良かったね」

 また美也子のミーハーがはじまったよ。
 しあわせそうでなによりだけどさ。
 あたし、興味ないんだよねー。

「塩対応だなぁ……」
 
 あたしの反応が不満そうな美也子は唇を尖らせた。

「テレビないんだから仕方がないじゃん」
「すごい美形で王子様みたいなんだよ、KAKERUは。後はショウも推せる」
「イケメン好きだね、美也子は」
「心の栄養だからね!」
「あたしは頭の栄養の勉強をしないと……」

(正直浮ついたことしてる場合じゃないんだよね。少しでも頭よくなりたいから)

 将来は絶対お金持ちのエリートになるんだから! 世界を股にかけて大活躍してやるもんっ!
 そしてあいつらを……なんて、あいつらの事は忘れよう。考えるだけでイライラするから。

「はーあ……」

 あたしは大きくため息をついて席に着いたのだった。

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