青春の花は素顔に咲く

 
 昼休み。四階の教室から別煉の理事長室に向かう途中。

「あっ、あたしのヘッドドレスが飛んでった!」

 強い風が吹いてきて、自慢のヘッドドレスが飛んでいった。

「嘘。木の上に……」

(どうしよう、登るしかないよね)

 スカートの下は見えてもいいようにきっちり着込んでるし。
 まだ春と言える季節だから、日差しもきつくないし。
 よし。

「よいっしょ……おっ、取れた! やったあ」

 あたしは喜んでヘッドドレスをつかむ。
 その時だった。

「きゃあっ」

 また、強い風が吹いて。

「うわっ」
「えっ?」
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