風鈴が鳴る頃に
 どれぐらいの時間眠っていただろうか
車の中で寝ると首が痛くなる。
窓に目をやった。

 緑色の艶やかな稲が風にサワサワとなびいている。

車が走っても走っても、
どこまでもどこまでも
田んぼが広がっていた。
抜けるような青空と緑色のコントラストが
美しかった。


やがて、白のワゴン車は
じゃりじゃりと石を踏む音を鳴らしながら
家の敷地に入っていった。

セーラー服の女の子が麦わら帽子を
手でおさえながらこちらを見てる

(ここら辺はセーラー服なんだな)

車から降りてドアを閉めると
涼しい風が吹いて僕のネクタイを揺らした


風が吹いたと思ったら
ミーンミーンミーンと
うるさいぐらいに鳴く蝉の声が聞こえてきて
太陽がジリジリと僕の頭皮を熱する

もう一度、さっき女の子がいた方を見るが



もうその姿はなかった

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