やだっ婚約破棄しないでっ!!

聖女ルンフェラナ22歳は今まさに婚約者 王子グルゼフ25歳から
婚約破棄されそうになっているのです。

ルンフェラナはラナ大陸にあるルフェラ国に所属する聖女であるのですが
グルゼフは同じくルフェラ国にあるルフラ城の王子なのです。

そんなルンフェラナとグルゼフは今、ルフェラ国にあるルルナナという城下町に
居るのです。

ルルナナ城下町は何時も賑わっていまして、本当に人が多いのですが
今日に限っては人が全く居ないのです。

それは何故なのか？
グルゼフがルンフェラナに婚約破棄するので人が出て来ないように
そういう事をしているのです。

それでルンフェラナとグルゼフは今、対峙しているのです。

ルンフェラナがグルゼフの事を睨みつければ、
グルゼフもルンフェラナの事を睨みつけているのです。

「本当に婚約破棄するの？」
そう言われるとグルゼフはニヤリとすると
「あぁっ、婚約破棄するに決まっているだろう」
「どうしても婚約破棄すると言うのね？」
「何度も言わせるなよっ!!」
そう呟かれるのです。

婚約破棄すると言う言葉を聞いたルンフェラナは心の中で
どんな思いをしているのでしょうか？
きっと悲しんだり、切ない思いを抱いているのでしょうか？
『グルゼフったら本当に婚約破棄するのね、まぁいいわ、
私も婚約破棄したいと思っていたので好都合です』
そう心の中で思っているのです。

「婚約破棄は認めてくれるのか？」
「ええっ、潔く認めます」
「そうか、それは良かった」
「では」
「じゃあな」
二人は背を向けるとその場から離れるのですが
いきなりルルナナの城下町の民が一斉に出て来てしまって
こう言われるのです。

「「「「おいっ、王子グルゼフ、婚約破棄してんじゃねえよっ!!!」」」
城下町の民にそう言われるとグルゼフは
「王子に向かってそう口の聞き方をしていいのかよ？」
そう言いながら鞘から剣を抜き抜いているのです。

「「「脅しかよっ、最低な王子だな」」」
そう呟きながらルルナナの城下町の民はみな家の中へと帰るのです。

『くそっ、どいつもこいつも俺の事を知らないくせによっ!!!』
そう心の中で思っているグルゼフです。

その後、聖女ルンフェラナは聖女という職を辞めて
一人旅をしているのですが、王子グルゼフはルフラ城内に
婚約破棄したという悪い噂が流れていまして、
ルフラ城に居ずらくなると短剣で自らの胸に突き立てていまして
自害し、他界するのでした。