物事は計画的に。
やっと解放されて酸素を求める。
初めて聞くとても低い声に怯んでしまう。


「……ご…ごめんなさい……」
「理由を聞いて回答がごめんなさいは納得がいかない。
 僕には言えない理由?
 確かに同居する時に転勤の可能性があるからしばらくは家に居て欲しいと聞いた手前、働きたい有無を言いづらくしたのは分かってる。
 本音言うと僕が仕事に行ってる間は外出禁止にしたいくらいに椿の事が心配なんだけど。」

岳さんを怒らせるとママどころの騒ぎじゃないらしい。

「そっその……
 黙って働いていた事は謝ります。
 決して疚しい気持ちはなく、大好きな本に囲まれながら仕事がしたくて図書館で働いてました。」

「椿。それでもちゃんと相談するなりしないと駄目だぞ?
 もし、通勤中に何かに巻き込まれても僕は全く知らないから椿を助けられない。
 それだけは嫌だから毎朝、椿が何処に出掛けるのか聞いてるんだ。
 椿はスマホを忘れても取りに戻らないから。
 これからの椿の行動でどれくらい自由に出来るか考えるぞ?
 むしろ、椿には自由を与えられなくなるかも知れない。
 今は食品だって日用品だって何だってネットで幾らでも買える時代だ。」

「ごめんなさい。」

岳さんの真っ直ぐな気持ちを聞いてとても申し訳ない気持ちになった。
泣きそうになった。
こんな人に心から愛されたい。
そして、私も愛したいと願う。



ここで変わらないと私は一生、後悔するだろう。


きっと岳さんはチャンスをくれたんだねーーー



真っ直ぐなあなたに素直な気持ちを伝えよう。

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