昨日までを愛せますように。
何をしにこの公園に寄ったのだろう?

早く仕事が上がれたのなら、真っ直ぐに帰ればいいのに……。

「真っ直ぐ帰ればいいのに……」

ボソッとつい本音を言ったら、

「……住宅街にあるこんな辺鄙な公園に居るアンタも一緒でしょ?」

と言われて、ビジネスバッグから何かを取り出した。

私と同じ……?

見透かされているとしたなら、この目の前の男も帰りたくない理由があると言うのか?

「やるよ。サンプルだけど……タバコのお礼。1ミリじゃ吸った気がしないけど……」

バサッ。

太ももの上に降ってきた小さな袋達。

小さな袋に化粧品のサンプルが何種類か入っていた。

「……これ、今、CMしてるやつ?」

「そ、新商品」

「……うわーっ、いいの?有難う!」

CMで見た化粧品のサンプル。

使ってみたかったが、値も張るし、諦めていた。
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