昨日までを愛せますように。
彼女が頼んだクリームソーダと私のカフェオーレが届くまで、お互いに黙っていた。

口にハンカチを充てている彼女。

もしかして、気分が悪い?

……気分が悪いのに、話かけてもいけないと思い、様子を伺うだけにした。

クリームソーダが届くと、無理してるのか、はしゃぎ始めた。

「いただきまーす!…香奈ちゃんもどぉぞ?」

「えっ…あっ…あのっ、私の名前…何で……?」

「あ、ごめんなさい。ついとっさに…バッグからネーム、見えてますよ?」

あっ……。

言われて見てみると、開いているバッグの横ポケットに、クリップで挟んだネームがちらりと見えている。

「"香奈"ちゃんって、可愛いお名前ですね?」

「そうですか?私は嫌いですけど…」

可愛くアイスを頬ばっている彼女に、冷たく言い放った。

名前なんて嫌い。

あの人達がくれたものなんかいらない。
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