昨日までを愛せますように。
「美優様はお父様が退任した後、後の社長になる為に色々と努力して参りました。律斗様が御存知の通り、美優様は日々、会社に貢献して参りました。この三年間に地方の工場に行かれたりして苦労も多かったかと思われ…」

「あの、美優は会社を辞めてなかったのか?」

「……はい、辞めてはおりません。出社しない場合もオンラインで会議をしたり、自宅で資料を作成していたりしておりましたが…御存知なかったでしょうか?」

「……あぁ、全く。美優は生活感をあまり出さないと言うか何と言うか…、会社の事は何も言ってなかった。社長が逮捕された時も一言もなかった」

美優は律斗さんにも話してなかったんだ。

何故、話さなかったのだろうか?

美優はお父さんの悪事を知っていて、律斗さんに無理矢理に結婚生活(偽装結婚)を強要してしまったから、これ以上は巻き込みたくなかったのかな?

いつか会えた時、美優の口から全てを聞かせてくれるだろうか?

「え……?じゃあ、美優が言ってたバイトは?」
「恐らく、仕事の事だろうな……」

専業主婦は全くの偽りだった。

買い物依存症は……?

本当はどうなんだろう?
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