真夜中のサイコパス
『よろこべ、有島咲良。

私がお前の体を借りて、木村菜々子を殺してやる。

アイツが死ねば、お前はうれしいだろ。

邪魔者がこの世からいなくなるから』


私は最悪の未来を想像して、私の中にいる浜中美澄を恐れていた。


このままでは、私は取り返しのつかない事件を起こしてしまう。


私の意思とは関係なく、私の体は木村菜々子を殺してしまうに違いない。


私はこれ以上、右手に文字を書かせないように、必死になって、左手で右手を押さえ込んだ。


すると、そんな私の行動を嘲笑うかのように、私の頭の中で直接、浜中美澄の笑い声が響いていた。


私は身体中から冷たい汗を流しながら、自分が自分でなくなっていくことを心から恐れていた。
< 103 / 212 >

この作品をシェア

pagetop