真夜中のサイコパス
「あっ、それは……、忘れ物を取りに……。

明日提出のプリントを忘れたから」


しどろもどろな話し方をする私を見て、拓実君はどう思っているだろう?


もしかしたら、私の心臓がドキドキと音を立てているのが聞こえていそう。


息が詰まる……。


胸が苦しい……。


あんなにいつも拓実君と話がしたいって思っていたのに、実際、話をするチャンスがあると言葉が出てこない。


ああ、どうして私はこんなにポンコツでダメなんだろう?


こんなチャンスはもうないかもしれないのに……。


拓実君は長身でイケメンでスポーツマンだ。


まるでアニメの世界から現実世界にやってきた人みたいに、拓実君には魅力ばかりが溢れている。


キラキラしているこの人は、やっぱり他の男子とは全然違う。


憧れていて、大好きだけど、平凡な私にはこの人と釣り合う自信がない。


大好きだけど……、本当に大好きだけど……。
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