真夜中のサイコパス
「そうか、忘れ物か。

オレも忘れ物をしたんだ。

お互いドジだな」


拓実はそう言うと、爽やかに笑って、私のとなりを通り過ぎていった。


本当は拓実を呼び止めて、もっと話がしたかったけど、私にはそんな大胆なことはできない。


こんなとき優子がいてくれたら、私の味方をしてくれるのに……。


勇気のない私の背中を押してくれるのに……。


そんなことを思いながら、私が拓実の後ろ姿を見ていたとき、突然、私の足が勝手に拓実の方へと走り出し、私は拓実を追いかけていた。
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