真夜中のサイコパス
(どうして?

どうして私の足が勝手に動いて、走っている。

私は拓実君を追いかけるつもりはないのに)


私が突然起きた体の異変に戸惑っていると、またいつものように、私の頭の中に笑い声が響き始めた。


その女の笑い声は、戸惑う私をからかっているみたいな笑い声だ。


私の恋を、私の胸のドキドキを、こんな風に笑う奴は一人しかいない。


私の中に潜んでいる浜中美澄だ。


私が急に走り出したのは、浜中美澄の幽霊が私の体を乗っ取ったからだ。


私は今起きていることの原因を理解すると、自分の中にいる浜中美澄を心の中で呪っていた。


どうして私の体を支配しようとするの?


私は拓実君を追いかける気なんてないのに!
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