真夜中のサイコパス
『有島咲良。

私がお前のフリをして、お前の願いを叶えてやろう。

うれしいだろ?

グズなお前には絶対にできないことだから』


私の頭の中で浜中美澄の声がした。


私の中にいる浜中美澄が、私の頭の中に直接話しかけてきているのだ。


それは不思議な感覚で、私にはそれが怖かった。


そして拓実の背中に追いついた私は、そんなつもりが少しもないのに、大きな声で拓実に話しかけていた。


「拓実君、待って!」


私の口からそんな言葉が出てきたことが驚きだった。


私の意識はハッキリしているのに、私が今している行動のすべてが、私の意思とは無関係に進んでいた。


浜中美澄は私が寝ているときじゃなくても、自由に私の体を乗っ取れるのだ。
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