真夜中のサイコパス
(どうして私がずっと隠していた気持ちをそんなに簡単に話せるの?

私がずっと大切にして、傷つかないようにそっとしておいた思いをどうして本人に言っちゃうの?

嫌われたらどうする気?

もう二度と取り返しがつかないのに)


私は浜中美澄が話している拓実を褒める言葉の内容に赤面して、早くこの場から逃げ出したいと思っていた。


浜中美澄の幽霊に恋の成就をお願いすると、好きな人と恋人になれるなんていう里山高校の都市伝説はウソだ。


どうして私はそんな都市伝説を信じてしまったのだろう?


そんな都市伝説さえ信じなければ、私は浜中美澄に関わることはなかったのに……。


私がそんなことを思っていたとき、私が想像もしていなかった奇跡が起きた。


私が拓実について思っていることを話したその言葉に彼がうれしそうに笑ったのだ。


そんなこと、夢でもない限り、起きるとは思っていなかった。


私は拓実の笑顔をじっと見つめ、心の底から沸き上がってくる幸せを感じていた。
< 117 / 212 >

この作品をシェア

pagetop