真夜中のサイコパス
「違う……。

私とあなたの考え方は全然違う……」


英語の授業が淡々と進んでいる中で、私と浜中美澄だけが静かに会話を続けていた。


私の中から浜中美澄を追い出さなくては、私の心の平安は決してこない。


私は自分が自分でなくなる瞬間がたまらなく嫌いだ。


たとえ私の体を乗っ取った浜中美澄が私に有利ななにかをしても。


そんなことを思いながら。


私はまたノートに文字を書こうとしている右手を左手で必死に止めながら、私の中にいる浜中美澄に向かって、心の中で叫んでいた。


(お願いだから、私の中からいなくなって!

私はあなたじゃない!

私は私なの!

私は有島咲良であなたじゃないの!)


私は誰にも知られることのないまま、授業中に自分の中に潜んでいる浜中美澄と戦っていた。


私が私であるために。


浜中美澄に自分を支配されないために。
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