真夜中のサイコパス
里山高校の美術室は別校舎の二階にある。


私はそこで私以外の女子生徒と三人で黙々と絵を描いていた。


私は優子みたいな特定の仲良しとはよくしゃべるけど、そうじゃない人とはほとんどしゃべらない。


昔から社交的てはなくて、内気な方だと自覚していたけど、その性格を直そうとは思わないし、私は今のままで良いと思っている。


私は絵を描いているつまらない時間の中で、須藤拓実のことを考えていた。


今みたいな絵を描いている退屈な時間でも、拓実がこの美術室にいたら、きっと楽しいんだろうなと思いながら。


私は絵が上手じゃないから、この風景画を拓実に見せたいとは思わない。


だけど、美術の授業中に見た拓実の絵は、とっても上手でうらやましかった。


私は拓実を見ていると、彼の新たな魅力を次々と発見して困ってしまう。


この調子だと、私はもっともっと拓実を好きになる。


私は三人の中で一番最初に絵を書き終えて、美術室を出ていった。


そして私が美術室から階段の方に歩いていくと、あの木村菜々子の後ろ姿を発見した。


木村菜々子は階段の近くに立ってスマホを見ていた。


私はそんな木村菜々子を見て、思わず嫌な気持ちになっていた。
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