真夜中のサイコパス
朋子が玄関で少しの間、立っていると、奥の方から美澄の母がやってきた。


少し小柄だけれどもスタイルが良くて、キレイな顔立ちの美澄の母を見ていると、美澄の美貌は母親譲りなんだと気づかされる。


美澄の母は手に花とケーキが入った箱を持っている朋子を見て、朋子が美澄を心配してくれていることがわかった。


美澄の母は朋子の方へと歩み寄ると、優しそうに微笑みながら朋子に話しかけていた。


「あらっ、朋子ちゃん。

今日は美澄のお見舞いに来てくれたの?」


「あっ、はい。

美澄が火傷を負ったと聞いて、心配になってきてみました」


「朋子ちゃん、ありがとう。

美澄は元気よ。

でもまだ火傷が治っていなくて……」


「美澄に花とケーキを買ってきたんです。

美澄に早く学校に来て欲しくて。

あのう、今日、美澄には会えますか?」


朋子がそう言うと、美澄の母は戸惑った表情を見せていた。


「せっかく来てもらって申し訳ないんだけど、たぶん美澄は出てこないと思うの。

あの事故があって、病院から退院したときから、部屋を出てこようとしないから」


「そうですか……。

わかりました。

美澄に私が来たって伝えて下さい」


朋子はそう言って、美澄の母に美澄のために持ってきた花とケーキを手渡した。


そして朋子が美澄の家を出ようとしたとき、二階の方から誰かが下りてくる足音が聞こえてきた。


朋子がその足音の方に目を向けると、そこには予想を超えた痛々しい姿の美澄が立っていた。
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