真夜中のサイコパス
私の心の中は不安と悲しみで満ちていた。


なんだか今日は、優子以外のクラスメイトも私に対してよそよそしい。


もしかしたら、みんなが私を木村菜々子を階段から突き落とした犯人だと思っているのかもしれなかった。


そう思うと、胸が苦しくて、一年三組の教室が居心地の悪い場所に思えてくる。


今日は早く家に帰りたい。


優子とも仲良くできない学校なんて、本当につまらないから。


時間って、どうにかして巻き戻せないの?


私は浜中美澄と関わる前に戻りたい。


昼休みになり、私は自分の席からぼんやりと外を見ていた。


浜中美澄の幽霊と体を共有している自分がなんだか嫌いになりそうだ。


私は100%の私じゃない。


私の中には偽物の私が潜んでいる。


「有島、どうした?

ぼうと外なんか見つめてさ」


私はふいに話しかけられたその声に反応して、すぐに後ろを振り返った。


その優しい声は私がいつも意識していた声だったから。


そして私が振り返ったその先には、私が予想した通り、優しい笑顔を見せている須藤拓実が立っていた。
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